こんにちは、佐藤小雪です。

 

今日は前回に引き続き過食衝動と脳の働きについてです。前回は糖質が脳に行き渡らないことが原因で、防衛本能が働き過食衝動が起こりますよ、というお話をさせて頂きました。(前回の記事はこちらです:過食衝動と炭水化物と脳の関係性

 

それで今回は、前回のお話をもう少し掘り下げて代償行為についてお話しさせて頂きたいと思います。

 

摂食障害の方の9割以上の方は、代償行為を経験していると思います。「昨日過食してしまったから、今日は絶食しよう」とか「夜は過食嘔吐したいから、朝昼は食べないでおこう」とか、こう言ったことが日常的にあると思います。もっと言うと、摂食障害ではない万年ダイエッターの方や今流行りの糖質制限ダイエットをされている方なんかも、代償行為をされている方が多いですよね。(最近は糖質制限ダイエットをすることで、摂食障害の過食症と同じ症状が出ている方が多いのですが、糖質制限ダイエットと摂食障害のお話についてもいつかお話しさせて頂きたいと思います)

 

体系維持の為の代償行為って、良かれと思ってされている方がほとんどだと思いますし、代償行為ができることで、食事の管理ができていると自分に自信を持てたり、あるいは誰かから褒められたりすることも多いと思います。そして何より、代償行為をして体系維持をすることで、心をどうにか保てているとも言えます。だけどそれは言い方を変えると、代償行為がしっかりと出来ずに過食してしまったり、代償行為をしたのにもかかわらず体重が増えていたりすると、その瞬間に心が崩壊するということでもありますよね。

 

"代償行為をすることで、一喜一憂する"という反応は、あなたの意識で起きていることですが、代償行為をする事で引き起こされる根本的な反応のほとんどは脳で起きているのです。

 

脳の働きから考えると、摂食障害の方において、代償行為が完璧にできることはありません。過食衝動が出てきた時点で、代償行為はプラスには働いてくれないのです。良かれと思って実践している代償行為は、実は落とし穴なのです。

 

なんだかこんなことを言ってしまうと、少し怖いですよね。私も摂食障害を治すと決めた時、あらゆる情報を目にした時に恐怖心のようなものが芽生えました。自分が20年以上信じていたものを手放して、心も体も変わらなければいけないという現実に。だけど、私はあなたを脅したいわけではないんです。今すぐに摂食障害を手放した方が良いとか、そんなことを言うつもりもありません。だけど知っておいて欲しいのです。あなたがいつか、摂食障害を手放したいと思えた日のために。

 

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◯食事量を減らすという代償行為の罠

 

前回の記事にも少し書かせて頂きましたが(前回の記事はこちらです:過食衝動と炭水化物と脳の関係性)、食事量が極端に少ない生活を続けていて脳に十分な栄養が行き渡らないことが続くと、脳はあなたの命を守るために、防衛本能が働き過食衝動を起こしてしまうのです。

 

そんな大切な役割をしてくれているのが脳なのですが、極端な食事管理や食事制限をすることによって、必要な栄養が脳にエネルギーが行き渡らないことが続くとどういう事になるのかと言いますと、脳は私たちを守るために防衛本能が働き、過食衝動を起こします。それが過食衝動です。

 

《前回の記事の引用です》

先ほどもお話したように、脳は私たちが生活するためには欠かせないものです。脳は私たちの生活を支えてくれております。「思考すること」「考えること」「行動すること」を常にしてくれているのですが、極端な話、この3つが出来なくなると「死を意味する」ということでもあるのです。

 

脳に栄養が行き渡らないと、脳は動くことが出来なくなってきます。そうなると脳は危機感を覚え、そしてあなたを守ってくれようとします。脳が十分に働くことができて、あなたは生きていけますよね。脳はあなたが生きていけるように、あなたを守るために、「糖質をください」と働きかけ、あなたを餓死から守ろうとしてくれるのです。

 

これが、脳と過食衝動の関係性です。脳は、あなたを守ろうとしてくれて、過食衝動を起こしているわけなのです。
過食衝動は敵だと思われがちですが、脳はあなたを守るために必死に呼びかけてくれているのですよ。

 

なので、食事量を少なくすればするほど、脳はもっと防衛本能が働き過食衝動を起こしますし、嘔吐すればするほど、あなたを守ろうと過食衝動を起こします。代償行為を続けることも同じです。

脳はいつでもあなたを見守ってくれているのですよ、あなたの命を守るために。

 

 

上記を読んで頂けるとなんとなく理解して頂けたと思うのですが、摂食障害の方で飢餓状態の方が極端な食事管理をすると、脳が防衛本能という名の過食衝動を引き起こしてしまいます。ですので、「昨日過食したから今日は絶食」というような1日を過ごすことが、そもそも過食衝動を引き起こす原因になってしまっているので、「昨日過食したから今日は絶食」という1日を過ごした次の日には「昨日絶食したのに、今日また過食しちゃった」という流れになることが多いのです。

 

 

〇野菜だけでお腹を膨らませるという代償行為の罠


これは野菜だけに限らず何にでも当てはまります。昔流行った「リンゴだけダイエット」や「バナナだけダイエット」などもそうなのですが、食べたいものを我慢して、低カロリーのものや、痩せるとされている食べ物だけを胃の中に詰め込んてお腹を膨らませたとしても、脳は全く満足してくれません。摂食障害の方の脳が求めているものは、基本的には糖質やその他の栄養の高いものだからです。なので、お腹がいっぱいなのに何故か過食衝動が襲ってくる、という現象が起こってしまうのです。

 

ここまで読んで頂くと、もうなんとなく予想がつくかと思いますが、摂食障害の方に関しましては、極端な食生活をされていて飢餓状態になっていると思いますので、野菜ばかりを食べてお腹を膨らませば膨らますほど、脳は別の栄養素(特に糖質)や、高カロリーなものを欲っして、過食衝動を起こします。これは摂食障害の方に限った話ではなくて、食事制限ダイエットしている方が「ダイエットをしているのに何故が甘いものばかりだべたくなる」とか「炭水化物ばかり食べたくなる」と言いつつも、脳が栄養を欲しがり、結果的に我慢できずにリバンドしていく事と同じなのです。(だからと言って、摂食障害の方と、ダイエッターの方では、抱えている問題は全く別です)

 

ダイエットが三日坊主になるのも脳の仕組み。ダイエットが続いたとしても、我慢できずにドカ食いしてしまってリバンドしてしまうのも脳の仕組みなのです。

 

 

◯ゼロカロリーやカロリーオフの罠

 

摂食障害の方がよく代償行為に使うものの1つに(ダイエッターの方もそうだと思いますが)、ゼロカロリーとかカロリーオフ糖質オフという商品がありますよね。私も摂食障害の頃、よくゼロカロリーのゼリーを買って食べていたのですが、これも実は摂食障害の方には合わないことが多いのです。

 

何度もお話しているように、摂食障害の方は飢餓状態の方が多いのですが、その状態でゼロカロリーやカロリーオフのお菓子を食べると、脳は勘違いを起こして「もっと食べたい、まだ足りない」と、過食にスイッチが入ったり、満たされない感覚を引きずる事になり、結果的に過食衝動を引き起こす原因になることもあるからです。

 

ゼロカロリーのものを口に入れたことで満足できるのって、最初の時だけで、食べ終わると「なんだか満足できないな。やっぱり普通のお菓子が食べたいな。」なんて思ったことはありませんか?そうとまでは思わなかったとしても、どことなく、満足感は得られてないような気がしなくもないな、という状態になることもあると思います。

 

そういう時、脳はどんな反応をしているのかというと。私たちが甘いものを目の前にした時、それがゼロカロリーのものだったとしても、脳はそこまでは理解していないので、「高カロリーを摂取できる」と認識します。脳からすると「甘い物=高カロリー」なのです。それでいざ、その甘いものを口にした時に、脳は「あれ、おかしい。高カロリーのはずなのに、カロリーが入ってこない」と思ってしまい、こうなってしまうと、どれだけゼロカロリーでお腹を膨らませても脳は満足しませんし、場合によっては、それが原因で脳が過食衝動を起こしてしまう可能性もあるのです。

 

 

◯代償行為のまとめ

 

結局のところ、何が言いたいのかと言いますと、少しずつでも良いので、食べる選択をしていくという事、そして、代償行為は本当の意味での代償行為にはなっていないということです。むしろ、摂食障害の方が苦しんでいるはずの過食衝動を引き起こす手助けをしているのようなものなので、摂食障害の方に関しましては、今の状態で代償行為を続けたとしても、状態が悪化してしまうことがほとんどなのです。

 

なので、摂食障害を治す覚悟ができた方は代償行為を手放す勇気を持ってみてください。

 

摂食障害の方が普通の食事を取るということ、代償行為をやめること、そして摂食障害を治す決意をするという事は、とても怖い事だという事は百も承知です。内面的な部分も外面的な部分も変化をしていかないといけなくなるという事は、摂食障害の方に関しましては、相当な覚悟が必要かと思います。なので先ほどもお話したように「今すぐ摂食障害を治した方が良い」とかそんな事は思っておりませんし、言うつもりもありません。だけど、「自分の人生を生きたい」と決意できた方がもしもいらっしゃるのなら、あるいは「いつか摂食障害を手放したい」と思っている方がいらっしゃるのなら、私の経験や知識が少しでもお役に立てることを願って、こちらに記事として残していきたいと思っております。

 

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

 

 

この記事の執筆者

佐藤小雪
佐藤小雪
10歳でダイエットを始め、気がつくとダイエットに依存し、20代半ばで摂食障害を発症、29歳で完治。摂食障害克服後、「私は生き辛かったんだ」と本当の意味で気づき、受け入れ、向き合う。
現在は瞑想をライフワークとし、こころについて学び続けております。
摂食障害、親子関係など、様々な経験から”こころ”についてお話しさせて頂きたいと思っております。
あなたの”こころ”に小さな光を灯す事が出来ましたらとても嬉しいです。