食事も変えた、運動もしている、過去の心の傷も癒してきた。それでも、あなたがアトピーを手放せずにいる理由とは?
こんにちは。キャリア・セラピストAiです。
これまで4回にわたり、アトピーと心の関係、そして心の傷の癒し方、感情の解放の方法について、お届けしてきました。
①アトピーと心の関係「何を選択しますか??」
②アトピーと心のケア「ステロイドは敵か??」
③アトピーと心のケア「心を癒したこと、ありますか??」
④アトピーと心のケア「炎症とつながりの深い感情とは??」
アトピーに学ぶ「心の教科書」5回目の今日は、アドラー心理学における「目的論」の観点から、アトピーと心の関係を考察していきたいと思います。
あなたは、「アドラー心理学」という言葉を聞いたことがありますか?
ベストセラーとなった「嫌われる勇気」という本を、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
アドラー心理学とは・・・
フロイト、ユングと並ぶ、心理学の三大巨頭と呼ばれるアルフレッド・アドラーが創始し、後継者たちが発展させてきた「個人心理学」と呼ばれる心理学の体系。(日本では「アドラー心理学」と呼ばれることが一般的)
そのアドラー心理学を象徴する考え方の1つに「原因論」ではなく、「目的論」で考える、というものがあります。
おそらく現在の日本では、「原因論」の方が一般的で、たとえば、「〇〇恐怖症」のような症状があるときに、過去にトラウマとなる出来事があって、それに起因して、その症状を持つようになったと考えることの方が、多いのではないでしょうか。
それに対して、「目的論」は、「〇〇恐怖症という症状を持っている目的が、何かあるはずだ」と考えます。
過去ではなく、今に目を向け、「今、〇〇恐怖症を持っていることのメリット」を見ていくというアプローチです。
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目次
1.「目的論」でアトピーを考えてみる
先ほど、ご紹介した「目的論」。これを、アトピーに置き換えて考えてみると・・・
「あなたがアトピーを手放せずにいることには、何か目的があるはずだ」ということになります。
そんなはずないと、あなたは否定されるかもしれませんが、アドラー心理学の考え方で見ると、
「あなたは、アトピーを手放したくない」ということになるのです。
ただ、この考え方を、そのまま受け容れるのは、とても難しいことではないでしょうか。
ですので、今、この考え方を受け容れるのがしんどければ、無理はしなくて良いと思います。
「食生活を改めたり、身体に良いことをしているはずなのに、どうもアトピーが改善しない。」
そんな八方塞がりになってしまったときのために、あなたの心を見ていく方法の1つとして、このアドラー心理学の「目的論」の視点を知っておいていただければと思うのです。
2.アトピーであることのメリットは何か?
「目的論」のアプローチでは、あなたがアトピーを手放せない理由を探っていくことになります。
「あなたは、アトピーを手放したくない」
もし、今、この考え方が受け容れられなければ、「仮に」という考え方をしてみるのも1つの手です。
仮に、自分がアトピーを手放したくないとしたら、何か理由があるだろうか?
何か、アトピーである状態にメリットがあるだろうか?
と考えるのです。
痒いし、痛いし、寝られないし、好きなものも食べられないし、好きな服も着られないし・・・
一見、何のメリットもなさそうに見えますよね?
でも、本当の本当にそうでしょうか?
例えば、私でいうと、アトピーを持っていることで、生活習慣や食生活の乱れを制御できているというメリットがあります。
おそらく、アトピーでなかったら、もっと荒れた食生活を送っていることでしょう。
アトピーの再発があったからこそ、自分の身体に目を向け、身体に優しい生活を心がけるようになれたのです。
それは、将来的な健康という見方をすれば、大きなメリットと言えるかもしれません。
あなたにも、何かそういうメリットが、ありませんか?
3.「原因論」と併せて考えてみる
アドラーは、「原因論」を否定していますが、私は、これまで書いてきた、過去の悲しみ、辛さ、怒りといった感情を解放し、癒す、このアプローチと併用する視点を持つと良いのではないかと思っています。
生活も改善し、過去を癒し、それでもアトピーを手放せないとき、
「なぜ、自分はアトピーを持っていたいのか?」そういう視点からの問いかけを、選択肢の1つとして持っておいていただきたいのです。
「良くなったら、〇〇できるのに。アトピーのせいで〇〇できない。」
あなたも、今まで、そんな風に考えたことがあるのではないでしょうか?
「挑戦したいのだけど、〇〇があるから、できない」
アトピーに限らず、そうやって、挑戦しない理由を作ったことはありませんか?
でも、実は、そうやって何かのせいにすることで、挑戦し、失敗することの恐れから逃げているということは、ないでしょうか?
心の奥底では、心当たりがあったりしませんか?
何かのせいにして、挑戦しない。このときの本心は、挑戦したいのではなく、「挑戦したくない」のです。
失敗して、自信を失うのが怖いから。挑戦しないかぎりは、「自分だって条件が整って、挑戦しさえすれば、それくらいできるんだ」という可能性を残しておけるからです。
こうして考えてみると、今まで、あなたがアトピーを持っていることによって、得てきた恩恵が少なからず、あるんじゃないでしょうか?
4.視点を変えることによる変化
私は、昔アトピーの症状が出ていた頃、正直、アトピーのことを憎く思っていました。「これさえなければ」と何度思ったかしれませんし、「普通であることすら叶わない」そんな自分を惨めに思ったこともあります。
ですが、2年前に再発してから、今にいたるまで、自分の心と向き合ってきて、アトピーは、こんなにも自分を守ってくれていたのか、と考えられるようになりました。
ちゃんと振り返ってみると、アトピーがあることで、免れてきたこと、甘えることができたことも、少なからずありました。
私がアトピーであることを恨んでいた、昔も、こんなにも私を守ってくれていたんだ、そう思えたのです。
アトピーは、皮膚からの排毒であると言われます。汗や尿などで、出し切れなかった体内の毒素を、皮膚を通じて排出しているという考え方があるのです。
その考え方を知ってから、いまいましいものでしかなかった湿疹も、私の皮膚は、私の身体のために、こんなに頑張ってくれていたんだという目でみることができるようになりました。感謝の気持ちさえ、持つことができるようになりました。
考え方ひとつで、こんなにも世界が変わるのだという経験をさせてもらったのも、アトピーがあってこそだったと思います。
5.アトピーを手放せない、もう1つの理由
明日から、アトピーが完全になくなったとしたら・・・
想像してみてください。
もちろん、嬉しいですよね。が、その反面、なんとなく少し不安な気持ちになりませんか?
もし、あなたが、今まで長い間アトピーだったとしたら、なおさら、あなたにとって「アトピー」であることは当たり前になっています。
それが、どんなに望まない「当たり前」であっても、当たり前を脱するのは、誰しも怖いものなのです。
その恐れは、本能的に備わっているホメオスタシス(恒常性)によるものです。
元々、ホメオスタシスというのは、自らの生命を守るために必要なものでした。かつて、人間が生きるために狩猟をしていた時代、いつもと違う場所に行く、いつもと違うことをするという非日常は、命の危険と隣あわせだったからです。
今までと同じ状態であれば、今までと同じように安全に生きていける確率が高い。だから、今から外れることには、恐れを生じさせるのです。
その本能が現代にまで受け継がれ、あなたが何か今までと違うことをしようとすると、あなたを守るために、それを阻止し、今までと同じであろうとする力が働きます。
私も、こんなに解放されたいと思っているにも関わらず、アトピーの痒みが、少し良くなると、不安になるときがあります。
良くなることを心底望んでいるはずなのに。なんとなく寂しいような、なんとなく心細いような、そんな気持ちになるのです。
あなたが完全にアトピーが治ったことを想像したときに感じた、少しの不安。
その少し不安な気持ちの正体というのが、アトピーを持っているメリットにも繋がってくるものではないかと思います。
あなたが、アトピーを持っているメリット・・・それは、誰かに心配してもらえるということ、誰かに甘えられるということかもしれませんし、苦手な何かをやらなくてもいいということかもしれません。
気づくことが第一歩。気づくだけで、不思議と変わることもあります。
ぜひ、一度、考えてみてください。
6.あなた自身の力で変えていく覚悟
あなたが、アトピーを手放せない理由に気づいたからといって、今すぐ手放せるようになるという、そんな簡単なものではないと思います。
でも、アトピーは変えることのできない運命なんかではなく、何らかのメリットがあって、あなた自身が、「アトピーという状態を選択しているのだ」と捉えることができれば、
あなた自身の力で、変えていけそうな気がしてきませんか?
薬であったり、色々と身体に良いと言われるものを試すことは、懐は痛んでも、心は痛みません。
反対に、心に対してのアプローチというのは、お金がかからないものも多い分、心の痛みを伴うことが多いのです。今までと違う自分になってしまいそうな、怖さもあると思います。
それゆえ、手っ取り早い、外側からのアプローチに気持ちが向いてしまいがちです。
確かに、乾燥であったり、紫外線であったり、外からの刺激が、アトピーの要因となっていることは否定できません。
しかしながら、それは、表面的なこと。表面的なアプローチを色々試して、状況が改善しないのであれば、次に、目を向けるのは、内側ではないでしょうか?
心の痛みから逃げないで、そろそろ、覚悟を決めて、あなたのもっと奥、身体の内部と心に目を向け、内側からアトピーを手放すことに挑戦してみませんか?
最後に
今日で、5回にわたってお送りしてきた、【アトピーから学ぶ『心の教科書』】シリーズは、一旦終了です。
あなたの心や、アトピーへの向き合い方に、何か変化が生まれ、それが、「あなたがアトピーから自由になること」に繋がったなら、とても嬉しいです。
そして、ぜひ、こうしてアトピーから学んだことを、あなたの人生の他の場面にも応用して、心豊かな日々を送っていただきたいと思います。
これからも、時々、アトピーのこと、書いていきたいと思いますので、引き続き、この「日刊こころ」を楽しんでいただけると幸いです。
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
この記事の執筆者

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キャリアカウンセリングを学び、国立大学での就職支援、 大手企業での人事教育の仕事を経験。その後、心・精神への興味から、カラーセラピーやヒーリングを学ぶ。
仕事だけでなく、子育てや趣味など「生き方」そのものが「キャリア」であると位置づけ、『より自分らしく、楽しく生きる人』を増やすため活動中。4歳の男の子のママでもある。
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